「自分史を書き始めています。何十年も前のこととなると、かなり忘れてしまっていることも多いです。
こんな質問を頂きました。
本サイトで配布している「自己分析用の質問シート」には、自分の過去を記憶が最初にあるところから思い出していただくワークが入っています。
それこそ、幼稚園の頃に関する質問も含まれているくらいです。
昔のことになると、なかなか思い出そうと思っても、思い出せないものです。
ただ、それでも昔のことを思い出すためには「フックを与える」ということが重要となります。
例えば、卒業アルバム。
卒業アルバムを見ると「そういえば、この時こんなことがあったな」と、それまで思い出さなかったことを卒業アルバムというフックがあることによって、芋づる式に思い出せたという経験はありませんか?
これがフックの力なのです。
そして昔の記憶を呼び覚ますためのポイントは、「当時の自分と同じ状況に身を置く」ということです。
例えば、当時の友人に話を聴いてみたり、当時の幼稚園や想い出の場所に実際に行ってみたり。
このように自分が当時の記憶を思い出しやすくなるようにフックを与えてあげると、ふとした瞬間に思い出すことができます。
自分史はノートに書く作業なので、どうしても机の上での作業となってしまいますが、実はこのような机を飛び出してフィールドワーク的な動きをすることで、更に良いの自分史を書くことができるようになります。
ぜひ実際に試してみてください。
思い出せないのは、あなたのせいではありません
先にお伝えしておきたいことがあります。過去を思い出せないのは、記憶力の問題ではありません。脳が「いま必要ないもの」を、あえて奥にしまい込んでいるだけです。
私たちの脳は、日々の判断を速くするために、使わない記憶を意識の表に出さないようにできています。つまり、思い出せない記憶は消えたのではなく、引き出しの奥にしまわれている状態です。だから必要なのは「思い出そうとする気合い」ではなく、引き出しを開ける鍵——フックです。
記憶を引き出す7つのフック
1|卒業アルバム・写真を開く
いちばん強力なフックです。当時の顔ぶれ、教室、制服。視覚情報は記憶を芋づる式に引っぱり出します。1ページずつゆっくりめくり、思い出したことをその場でメモしてください。
2|当時の場所に行ってみる
通学路、公園、住んでいた家の近く。実際に立つと「ここでこんなことがあった」と身体が思い出します。遠くて行けない場合は、地図アプリのストリートビューでも代用できます。
3|当時の人に聞く
家族、幼なじみ、同級生。他人の記憶は、自分の記憶と違うところに引っかかっています。「私ってどんな子どもだった?」と聞くだけで、自分では覚えていなかった側面が出てきます。
4|当時の音楽を聴く
音楽は感情ごと記憶を呼び戻します。中学生のときによく聴いた曲を流すと、そのころの気分まで戻ってくることがあります。
5|年表の枠を先に用意する
白紙に「思い出せ」と言われると固まります。「小学生」「中学生」と時期で区切った枠があるだけで、脳は埋めようとして動き出します。
6|出来事ではなく「感情」から探す
「悔しかったこと」「うれしくて眠れなかったこと」——感情を入り口にすると、出来事から探すより早く出てくることがあります。感情は記憶に強く結びついているためです。
7|書く時間を毎日決めて、脳を「過去モード」にする
これがいちばん効きます。毎日15分でも過去を思い出す時間をつくると、脳がその状態に慣れてきます。すると、お風呂や通勤中など、机に向かっていないときに突然思い出すようになります。
思い出せない時期は、空欄のままで大丈夫
すべてを埋めようとしないでください。空欄は失敗ではありません。書き進めていくうちに、別の記憶がフックになって、あとから埋まっていきます。
それでも思い出せない時期がある場合、そこに何かしらの理由があることもあります。無理にこじ開ける必要はありません。書ける場所から書いてください。
よくいただく質問
幼少期がまったく思い出せません。異常ですか?
異常ではありません。3〜4歳より前の記憶がほとんどないのは一般的なことです。思い出せる一番古いところを起点にしてください。
思い出したことが本当かどうか自信がありません。
そのままで構いません。自分史で大切なのは事実の正確さではなく、その出来事を自分がどう受け取ったかです。記憶が多少ずれていても、価値観を探る材料としては十分に機能します。
思い出すのがつらいときは、どうすればいいですか?
手を止めて構いません。つらい記憶に無理に踏み込む必要はありません。書き方のコツは自分史を書くとネガティブになる?にまとめています。